ジョイントコンサート プログラム紹介
みなさんこんにちは。
10日ぶりの更新となってしまいました(^_^;
4月も中旬に差し掛かり、今日などは首都圏は暑いくらい気温が上がっていますね!
私は、ここから5月に向けての爽やかな気候がとても好きで、今日くらいの暑さだと初夏に向かう爽やかさすら感じてとても楽しい気持ちになってきます(*^^)
さて、いよいよ明後日は
ピアノ愛好家による演奏会 ~君のために~
の本番当日となります!
出演者の皆さんは、いよいよ当日に向けて集中力を高めている時期でしょう。
私も細かな練習は一段落し、ピアノソナタ(悲愴を弾きます)全体を通しての流れや間の取り方を確認している日々となりました。
今日は、当日演奏される曲の紹介を簡単にさせていただこうと思いますので是非お読み下さいね。
第一部
バッハ/イタリア協奏曲
協奏曲というと、ソロ楽器とオーケストラのアンサンブルを思い浮かべがちですが、この曲はもともとチェンバロ独奏用に作曲されており、1台の楽器でソロパートとオーケストラパートの両方を表現します。
高音部の繊細さと低音部の重厚な響きが相まって、ピアノソロ曲といえどとてもボリュームがある豊かな音色を奏でられることが特徴です。
第一楽章が比較的有名な曲ですが、今回の演奏会では全楽章お送りしますので、楽章ごとの音色の対比や曲想の違いなどもどうぞお楽しみ下さい!
ショパン/エチュードOp.10-12「革命」
ショパンのエチュードの中でもとりわけ有名なこの曲は、1831年頃、ショパンがロシアへと渡っていた間にポーランドでの革命が失敗したという報せをうけて作曲されたと言われています。
冒頭から息を飲むような左手の下降のパッセージや、右手の激しいメロディーは、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実はこの曲、当初は名前のついていないエチュードだったのですが、フランツ・リストによって「革命」と名付けられたというエピソードもあります。
続いて演奏されるリストの「愛の夢」と合わせて、ショパンとリストの関係性に想いを馳せながら聴いてみて下さいね。
リスト/愛の夢第3番
リストの曲の中でも有名な愛の夢第3番。
この曲はもともと、3曲から成る歌曲が原曲で、今回演奏される第3番は「おお、愛しうる限り愛せ」という原題のソプラノ歌曲でした。
リストは「指が6本あるのではないか」と噂されたほどの超絶技巧の持ち主ですが、愛の夢第3番では複雑な技巧よりもむしろ歌曲の美しさを大切にしたメロディックな側面を見ることができます。
流れるような音色の内声と、豊かな響きを含むメロディーの調和を感じながら聴いてみて下さい!
ショパン/前奏曲第15番「雨だれ」
この曲を紹介するにあたって外せないのが、ショパンの恋人として晩年までをともにしたジョルジュ・サンドの存在です。
ショパンとサンドは、フランツ・リストを介して知り合いました(ここでもリストが!)。
当初はお互い反目し合う関係でしたが、サンドのショパンに対する深い理解がふたりの距離を縮め、やがてふたりはパリからマヨルカ島へ逃避行するまでになります。
「雨だれ」はマヨルカ島に渡ってから作曲されました。
ある日雨が降る中サンドが家に戻ると、ショパンが作曲したばかりの曲を弾いていた…それがこの「雨だれ」なのです。
雨の多い地中海性気候で、長く続く雨期だからこそ、そしてサンドという理解者がいたからこそ生まれたこのプレリュード。
是非ふたりの関係性を想いながら聴いていただければと想います。
ショパン/ポロネーズ第3番「軍隊」
こちらの曲も、ショパンがサンドとともにマヨルカ島へ旅立ってから作曲された曲です。
他のポロネーズはロマンチシズムを含んだ美しい中間部を擁するのに対し、軍隊ポロネーズはポロネーズのリズム、曲想を常に厳格に保っており、ショパンの作品全体の中でも異色のものと評価されることが少なくありません。
重厚で威厳のある曲はいかにも「軍隊の隊列」を想起させ、ピアノストであるアントン・ルビンシュタインは軍隊ポロネーズを「ポーランドの栄光」と評しています。
また、この曲は第二次世界大戦中、ドイツに侵攻されたポーランド軍を奮起させ、民族を団結させるためにもしばしば用いられました。
音楽的にも、ポーランド史的にも重要な意味を持つ曲を、どうぞお楽しみください。
グリーグ/ホルベルク組曲より「サラバンド」「リゴードン」
「ホルベルク」はノルウェーにおいて「ノルウェー文学の父」とされる作家の名前を指しています。
全5曲が舞曲形式で作曲され、当初はピアノ曲でしたがグリーグ自身によって後に管弦楽曲に編曲され、再度ピアノ曲として出版されました。
今回演奏される「サラバンド」「リゴードン」は古い舞曲形式を踏襲していますが、大変活き活きとした「ノルウェーらしい」曲となっており、ノルウェー民族音楽を深く愛したグリーグの祖国愛が伝わってくるような曲です。
グリーグのピアノ曲は決して数多く遺っていませんが、ノルウェーという国、土地柄、そして民族性がこの組曲には凝縮されていますので、北欧の雰囲気を楽しみながらお聴きください。
ショパン/バラード第4番
ピアノを弾く人ならば誰でも知っていて、そして憧れを持つのがショパンの4つのバラードですね。
バラード第4番も「いつか弾きたい」「弾いてみた!」という方が多いのではないでしょうか。
バラード第4番が作曲された頃、ショパンは作曲家として円熟の時期を迎えており、同時期に「英雄ポロネーズ」や「スケルツォ第4番」など大作を次々に発表しています。
この曲は、ショパンが持ちうるあらゆる演奏技法が詰め込まれており、聴いても、そして演奏しても常に新しい発見がある曲です。
穏やかな主題から不穏な中間部、曖昧な転調を繰り返し最後は激しいコーダを迎える…バラードの「ドラマ性」も存分に含んだ、ショパン最高傑作のひとつと言えるでしょう。
弾く人により姿を変えるショパンのバラード、今回の演奏者がどのように弾くかをどうぞお楽しみに!
第二部
シューベルト/幻想曲D.940
この曲は1828年、シューベルトが死去する年に作曲されました。
シューベルトは連弾曲を数多く遺していますが、このD.940はその中でもとりわけ「最高傑作」という評価を現代に残す大曲です。
通常、楽章が分かれているピアノ曲は楽章と楽章の間が切れていますが、D.940では切れ目なく第1楽章から第3楽章までを演奏しきります。
シューベルトはこの曲を作曲する4年前の1824年にエステルハージ伯爵の招聘で音楽教師を務めますが、伯爵の娘カロリーネに恋心を抱いてしまいます。
身分の違いなどから叶わぬ恋と知り、D.940をカロリーネに献呈しました。
温和で穏やかだったとされるシューベルトの内に秘めた情熱をこの曲で読み取ってみてくださいね。
ショパン/ノクターンOp.9-2
ショパンのノクターンの中でも最も有名な曲ですね。
その美しいメロディーから、ピアノだけではなくヴァイオリンやチェロ、声楽曲としても編曲され、幅広い人びとに愛されている曲です。
曲全体の構造は、最初に登場する4小節のフレーズが繰り返されているシンプルなものですが、さまざまに形を変え、装飾がなされ、非常に美しいものとなっています。
これらの装飾や即興的な変化は、オペラアリアの演奏習慣に由来し、ショパン自身が即興演奏を得意としていたことの裏付けとも言えるでしょう。
皆さんに馴染みが深い曲を、どうぞ存分にお楽しみいただければと思います。
ブラームス/間奏曲Op.118-2
この間奏曲は全部で6曲から成っており、いずれもブラームス最晩年に作曲されました。
今回演奏される第2番は、間奏曲の中でも非常に人気が高く、歌うような美しい旋律が特徴的です。
ブラームスはクララ・シューマンに憧れを抱いており、これら間奏曲もクララに献呈されました。
当時のブラームスは61歳で、クララは75歳。
歳が離れた同士でも、そして歳を重ねても、長い間憧れを抱いてお互いの音楽を理解し合える関係…とても素敵ですね。
ショパンとサンドの関係でも言えますが、音楽に対する理解者を得るという事はとても幸せな事なのかも知れません。
バッハ/イギリス組曲第2番より「プレリュード」
作曲年代や曲名の由来などに謎が多い曲です。
おおよそ1725年頃までに推敲が完了したとも言われていますがさだかでなく、曲名の由来も「ある高貴なイギリス婦人のために作られた」と言われていますが憶測の域を出ません。
イギリス組曲は全6曲からなる当時としてはかなりスケールの大きい鍵盤楽器曲で、中でも今回演奏される第2番「プレリュード」は現代でも人気が高い曲のひとつです。
まだピアノという楽器が完成していなかった時代の曲が、ピアノによってどのような音色になるのかをお楽しみいただければと思います。
ショパン/ノクターンOp.48-1
Op.9-2に次いで人気のあるノクターンですが、曲想は9-2とは打って変わって重厚で陰鬱な印象を与えます。
序盤の沈み込むようなテーマは、Lentoと指示があるにも関わらず緊張感を湛え、曲が進むにつれ徐々に華やかに、そして激しさを増していきます。
ノクターンの中でも男性らしさを感じさせる1曲ですが、中間部のコーラル、そしてコーダのダイナミックさは、ともすればソプラノ歌手の歌声のようにも感じますね。
バラードにも似たドラマティックな展開と、どこかに漂う祈るような宗教的なモチーフをお楽しみください。
見上げてノクターン、荒城の月
出演者の方が自ら編曲した2曲です!
「どこかで聴いたことがあるな…」と耳に馴染んだフレーズから、あらゆる技巧を散りばめた現代風アレンジに大変身します。
あの有名なモチーフがこんな風に変わるの?と、変奏や装飾、そしてキラキラするような技巧を楽しんでいただければと思います。
私は編曲や作曲が全然できないので、こんな風に音楽を楽しめるのは羨ましいな~と思っていつも聴いています(*^^)
ラフマニノフ/前奏曲Op.23-2
ラフマニノフは全部で24曲の前奏曲を遺していますが、その中でも最も華やかで演奏効果が高いとされるのがこのOp.23-2です。
左手の華麗なアルペジオと力強い右手のメロディーは、ロシアの祝祭を思わせるような、賑やかで華々しいイメージがあります。
また、中間部では波がざわめくような音型が随所にあらわれ、それに呼応するように左手が美しい旋律を奏でます。
中間部から終盤に向けてのめまぐるしい転調も圧巻!
カレイドスコープのような煌びやかさを是非お楽しみくださいね。
第三部
リスト/パガニーニによる大練習曲より「ラ・カンパネラ」
超絶技巧と煌びやかな音色で、ピアノを弾く人にも弾かない人にも名前が知れている「ラ・カンパネラ」ですが、実はリストは生前4つのパターンで曲を遺しました。
今回演奏するのはもっとも有名な「パガニーニによる大練習曲」編のものです。
原題にもあるとおり、この曲はもともと18世紀から19世紀にかけて活躍したヴァイオリニスト「ニコロ・パガニーニ」が作曲したものをピアノ風にアレンジしたものでした。
跳躍や早いパッセージ、トリルなど、ピアノの難曲を弾く上で大切な技巧がほぼすべて曲中に登場し、弾いていても聴いていても退屈しない曲ではないでしょうか。
「カンパネラ」は「鐘」を意味する言葉ですので、ホールに響く鐘の音をどうぞお楽しみ下さい!
ベートーヴェン/ピアノソナタ第8番「悲愴」
ベートーヴェンの「三大ソナタ」と言われる曲のうちのひとつですが、この「悲愴」はベートーヴェンにとっても、また古典期の音楽にとっても非常に重要な意味を持っています。
ベートーヴェンにとっての重要性は「原題を自分で名付けたこと」に尽きるでしょう。
ほとんどの曲が出版後やベートーヴェンの死後に名前をつけられたのに対し、悲愴はベートーヴェン自らが名前をつけたのです。
この曲は難聴に苦しみ、「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる手紙を遺すまでに絶望していた時期に作曲され、当時のベートーヴェンの苦悩や祈り、苦難への怒りなどがまざまざと描かれています。
音楽的な重要性でいうと、「古典期からロマン期への過渡期」を現していることではないでしょうか。
第一楽章の転調や第三楽章の和声進行などは当時の古典の様式から逸脱しており、ロマン派音楽へのアプローチを垣間見ることができます。
そんなふたつの重要性を持った曲を、今回は全楽章演奏しますのでどうぞお楽しみ下さい!
ラフマニノフ=コチシュ/ヴォカリーズ
元々はソプラノ/テノール歌曲として作曲されたヴォカリーズですが、今回はコチシュ・ゾルターンの編曲によるピアノ独奏版でお送りします!
ため息のような「ア」だけで流れる旋律を、ピアノで美しく歌い上げます。
この曲はラフマニノフが1913年に出版した「14の歌曲」のうち最も人気があり、ピアノだけではなくヴァイオリンやフルート、チェロなどでも演奏されることが多い曲です。
ラフマニノフ自身もこの曲を積極的に編曲しており、当初はピアノ伴奏だったものを管弦楽形式にして初演に至りました。
ロシア民族音楽の特徴である変拍子が随所に見られる一方で、不協和音を極力避けて和声の美しさを追及した曲をどうぞお聴きください。
ショパン/前奏曲Op.45
ショパンのプレリュードをまとめて「24のプレリュード」と呼ぶことがありますが、このOp.45はそれら24曲から離れて独立している1曲です。
プレリュードというよりはノクターン的な即興性、転調が随所に見られ、ショパン自身この曲をもって「これほど転調がうまくいった曲は他にない」と評価しました。
曲の構成はとてもシンプルですが、前述のとおりクルクルと躍るような転調が繰り返されるのが聴きどころです。
ショパン/幻想ポロネーズOp.61
幻想ポロネーズは1846年に作曲され、ショパンの死後20世紀に入ってルビンシュタインやホロヴィッツの演奏により広く人気が出た曲です。
ポロネーズに含まれてはいるものの、前述した厳格な様式を保っている「軍隊ポロネーズ」と比較してもポロネーズ本来の様式からは大きく逸脱しており、幻想曲に近い曲想を持っていることから「幻想ポロネーズ」と呼ばれるようになりました。
曲のスケールは非常に大きく、構成は10にも分けることができ、さまざまに表情を変えながら4つの主題が入れ替わり立ち替わり現れます。
作曲当時のショパンは心身ともに非常に具合が悪く、またサンドとの仲も破局へと向かい、まさに極限の状態でした。
そのためか、曲はファンタジックな印象とともにどこか不安で焦燥感のようなものも感じます。
最晩年を迎えたショパンの魂のようなポロネーズをどうぞお楽しみ下さい。
長くなりましたが、土曜日の演奏曲のご紹介でした!
当日は、11名のピアニストがこれらの曲を演奏いたします。
まだ席に多少余裕がありますので、お越しくださる方はお問い合わせより是非ご連絡ください。
そして出演者の皆さん、当日は楽しく、またお客さまが楽しめるように1日頑張りましょう(*^^)
それでは、良い夕べをお過ごしください。
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